第23回特集は、引き続き二代古靱太夫のニット−盤以前の音源を聞いていただきます。大正6年と大正9年に発売されたレコードで三代清六とのものです。最初は、奥州の伝説などを題材とした奥州安達原の三段目「袖萩祭文」、カット部分が多いですが、名曲として知られているものです。また二つ目は、日蓮記ものです。興行上、宗派の行事と関連することが多いです。そして三番目は、以前特集5で紹介した絵本太功記十段目の続きのうち今回は前半部です。古靱・清六によるはじめての一段物レコードです。これらは、主に清六の名三味線を聞き所としたものですが、古靱に関しては芸の変遷の参考となるものです。さらに清六による彦六系統の解釈を含むということも、音源の特徴と思います。コンビ上の事件として大正6年後半に仲違いということもありました。
音源はレコード1面単位で載せます。旧式の吹込みで補正しておりませんので、ノイズで聞き苦しい点はご了承下さい。テキストは「義太夫全集」(日本音曲全集)、浄瑠璃名作集(日本名著全集)など、芸談その他については上演資料集、豊竹山城少掾覚書(演芸資料選書9 国立劇場)などを参考にしてください。 尚、日蓮記勘作住家については、京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター 大西秀紀氏に音源を提供頂きました。