第27回特集は、四代大隅太夫と初代道八の音源を聞いていただきます。四代大隅太夫は、三代大隅の門弟で、初名を静太夫。昭和二年に四代目を襲名した時に、相三味線として、団平直系の道八を迎えました。ビクター盤とポリドール盤に多くの吹込みをしています。今回の音源は、昭和初期にポリドールから発売されたレコードで「源平布引滝 松波琵琶」「壺坂 萬歳」「ひらがな盛衰記 逆櫓」です。松波琵琶の段は、琵琶の音色を聞かすために道八が特別に考案した三味線の駒を用いたところです。壺坂の萬歳は、団平が苦心の作曲をしたもの。逆櫓は、三段目の傑作で太夫の力量と三味線の技巧が聞き所。尚、大隅・道八のビクター音源は、国立国会図書館「歴史的音源」にほとんど収載されたので、設備のある図書館であればもう少し長時間のものを聞くことができると思います。
音源はレコード1面単位で載せます。逆櫓は、破損があり4面のうち前2面のみとなりますが、ご了承ください。テキストは公演床本集や浄瑠璃集(岩波書店)、日本の音楽と文楽(和泉書院)など、芸談その他については上演資料集、道八芸談などを参考にしてください。