竹本大隅太夫(四代)
大隅太夫(三代)の門下、昭和27年7月没。特に時代物を得意とした。元・竹本静太夫で、先代が大正2年に死後、昭和2年2月四代襲名。先代が大名人ということもあり、襲名前のごたごたは当時の新聞記事や、義太夫愛好家で三代大隅のひいきでもあった副島八十六氏の『義太夫盛衰論』に詳しい。名跡相続というものは芸人うちでもひいき筋からも本当に厳しく難しいものである。そのレコードは静太夫時代に掛け合いも含めてニットーから、そして大隅太夫になり、初代道八とビクターから出されている。
鶴澤道八(初代)
明治10年二代吉左衛門入門、明治12年二代勝七預かり、明治22年二代団平門下となる。昭和19年11月没。二代団平の薫染を受けた名人で大師匠と呼ばれた1人。力のある写実的な三味線をきかせる。その芸は『文楽の鑑賞』、文楽研究者の白眉・鴻池幸武の遺作『道八藝談』や武智鉄ニ氏の著作、それに氏自身の芸談?『芸十夜』等に登場する。晩年は舞踊物にも凝っている。レコードではビクターから名盤を出している。傑作といわれる四代大隅太夫との源平布引滝・松波琵琶の段や古靱らとの寿式三番叟などがある。