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年賀状 竹本摂津大掾 二見金助(本名) 明治四十年

                   


特集53 編集後記

         

 しばらく厳しい寒さが続いています。先日、庭先に雪が一寸積りましたが、ふと梅の枝を見るともう幾多も花芽が。少しずつ春が準備されつつあります。

明治の世になり、文明開花と共に文楽も操芝居小屋から劇場へ移行しました。明治5年1月に松嶋文楽座が開場。その時に初めて文楽座と座名を掲げた事から、初春公演は文楽座命名150年記念ということです。義太夫年表明治篇によると、当時の陣容では文楽座紋下が五代竹本春太夫と吉田玉造、三味線の豊澤団平は紋下格、演目は、「絵本太功記」の通しと「御祝儀三番叟」で、53日間の大入りであったそうです。それから令和の世となり、日本語や古典に密着した無形文化を取り巻く環境も大きく変わりました。次の時代でも豊かな文化多様性の中で発展して欲しいですね。

 さて、今回の特集も、引き続き三味線弾中心の音源を取り上げました。六世鶴澤友次郎師の相生松は、浄曲祝言ということで半ばに高砂や〜という婚礼シーンで馴染みのある節。太夫を活かす三味線弾と言われた人の唯一の弾語りレコードです。そして、次は四代鶴澤叶 弾語りさわり集の残り追加分です。鶴澤叶師は三代鶴澤清六師の弟子で、鶴沢叶聞書を残しています。また、レーベルはほうがく盤の中でも鶴澤叶レコード頒布会独自のタチバナ印となっています。
次の企画も検討しますので、今後とも宜しくお願いいたします。それでは良い年をお迎えください。

2021.12.31 大枝山人