ここでは、義太夫SPレコードを概観する(I 部:出張録音と旧式吹込み)。倉田喜弘氏の「日本レコード文化史」を読むと、この一世紀あまり人々がレコード製作のため、音源演者の獲得、技術革新、商売に奮闘してきた歴史を俯瞰する事ができるが、その中で義太夫レコードも大きな一角を占めている。最近、その時代の遺産の一つである三世竹本津太夫のSP音源が、没後70年ということでCD復刻されている。将来、ますます技術進歩が進むだろうが、新しい音源演者の存在が本質的な問題である。