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国際化の時代 仏国返礼使ジョッフル元帥歓迎 文楽観覧プログラム(大正11年 2月15日)”義経を探して” 義経千本桜 道行より

                   


特集36 編集後記

              

 2015年も終わろうとしているが、 今年の文楽の義太夫界では、昨年の住大夫師の引退や、次の初春に長年勤められた嶋大夫師が退かれることなど本格的な世代交代が動き出したと言えるだろう。引き続き、中堅の方々による舞台での益々の研鑚を期待すると共に若手による新風を応援したい。また今年になり、文楽劇場では様々な国のお客さんが増えたように感じる。将来、公演が受け入れ易いように、さらに鑑賞の補助機会が求められるだろう。かつて、大正期後半において、急激な世代交代が続いたことがあったらしい。昭和初期に活躍する三巨頭という言葉がまだ聞かれなかった頃である。また、国際外交の場にも使われた頃でもある。単純に歴史は繰り返すと言えないが、時代の移り変わりというのは案外興味深いものである。

 さて、特集におつき合いいただき有り難うございます。今回、五代錣太夫それに三代津太夫・山城少掾の若手時代の音源を取り上げました。特に、鰻谷の段にて二代豊澤新左衛門による大団平師匠直伝の三味線は聞き所です。明治期の音源については、録音技術が良くないので名人の若いころを偲ぶよすがになればと思います。引き続き次回の特集は、「名人のおもかげ資料」の補足を中心に企画を準備中です。また、来年前半には、「名人のおもかげの資料」のテキスト化も完了させたいと思っています。今後とも、宜しくお願い致します。

参考: 大阪の芸能 文楽史 吉永孝雄

2015. 12. 28 大枝山人