この八月に豊竹嶋太夫師がご逝去されました。時々、劇場へ通じる地下通路でお見かけし、気さくに挨拶を返していただいたことを思い出します。公演では、「十種香」や内子で聞いた「堀川猿廻し」が忘れられません。内子座では、芝居小屋全体の熱気や大正時代の舞台も相まって素晴らしい熱演でした。遅ればせながら、心からお悔やみ申し上げます。
特集50では、名人のおもかげの追加音源を聞いていただきます。前回の続きとして、ほうがく盤 伊賀越道中双六 沼津の段 二代鶴澤觀西翁 三代鶴澤寛治郎の後半をお送りします。音源は補正していませんので雑音などは御容赦願います。テキストは公演床本集や浄瑠璃の注釈書などを参考にしてください。
さて、コロナ禍の中、劇場が再開しました。先日、当方も素浄瑠璃の会に出かけました。久しぶりに劇場にて聞く咲太夫師の語りで朝顔の悲哀に心を揺さぶられました。最近、咲太夫師が体調を崩されたこと残念ですが、お大事になさってください。また、劇場管理は、さすが国立、新型コロナ対策が細部まで行き届いています。あとは、劇場関係者や観客一人一人が感染予防を心がけることしかありません。しばらく、状況は一進一退が続くと思われますが、協力して盛り上げていきましょう。